ゲームのコラボはこうして作られる!プロデューサーの小話

プロデューサーの小話

東京のゲーム会社で5年ほど働いていたかぴばらくだです。

「コラボ」とはいわずもがな「コラボレーション」の略で、ゲームであれば、他タイトルやアニメ、漫画や企業との共同企画を指しますよね。

「XXとXX、夢のコラボ!」「コラボ実施中!XXのキャラを手に入れるなら今!」のような言葉が書かれたゲームの宣伝を見かけることが多い今日この頃。

ところで私が担当していたPCブラウザゲームですが、長寿タイトルではあるものの第一線級の有名なものではありませんでした。

そのため、超有名ゲーム同士のコラボ(パ●ドラとペル●ナ)や、アニメ版権とのコラボ(荒●行動と進撃●巨人)をするゲームを見ると、「すごいなあ……」と思わずトオイメをしてしまったものです。

しかしそれでも、何度もコラボ企画は経験しました。しかも、ゲームタイトル同士だけでなく、まったく別業種との場合も。

ところで何かと話題になるコラボですが、いったいどのようにして生まれるのでしょうか

自分の担当するタイトルだけではなく他社が関わるため、準備から実施までにそれなりの苦労が伴います。それはまるで、コラボという花を咲かせるため、種をまいたり地面を整えたり水をやったりと、地道に作業するようなもの。

今回は、コラボという花が世に出るまでの裏話をこっそりお届けします!

種まきフェーズ

種まき
物事には何かしら、始まるきっかけがあります。

コラボもまた然り。

私がプロデューサーとして経験してきた中でですが、コラボ誕生のきっかけとなるのは次の3つです。

1:先方から話がある
2:自分で突撃
3:誰かからの紹介

では一つ一つ見ていきましょう。

1:先方から話がある

あなたのタイトルとコラボしたいです」と相手先から連絡が来る場合です。

このパターンは、同じPCブラウザゲーム同士であることがほとんどで、話が始まってからのコラボ実現確率はほぼ100%でした。

2:自分で突撃

知り合いもコネもないけれど、コラボしたい!という場合は、自ら突撃します。

企画書を作り、手に入った連絡先宛にメール、電話、郵便などで何とかコンタクトをとろうと試みます。しかし返事が来ないこともしばしば。

私もあるミュージシャンとコラボをしようと企画書を送ったのですが、残念ながら連絡は返ってこずでした。ちょっと寂しい思い出です。

3:誰かからの紹介

何はなくとも、円満な人間関係は大事だなあ。としみじみ思うのがこのパターン。

仕事で関わっている人から、「コラボ先でこんなところいかがですか?良かったら担当者紹介しますよ」と提案されるのですが、紹介先は他ゲームであったり、はたまた全く別の業種であることもありました。

私の経験でコラボ実施したものだと、ひとつはアニメ作品で、もうひとつは雑誌でした。

アニメ作品の方は、お世話になっている声優事務所の方から「昔お世話になった作品の監督を紹介します」と言われたことがきっかけ。

雑誌の方は、プラットフォームの担当者と定例会議を行った時に、「そういえば雑誌のXXさんて、最近ゲームコラボやったんですよ。良かったら窓口紹介しましょうか?」と言われたのがきっかけでした。

コラボの花を咲かせるために!実作業フェーズ

地固め
コラボ先と打ち合わせを持ち、晴れて「やりましょう!よろしくお願いします!」となりました!

さて、ここからが勝負です。

地固め

他社と関わるわけですから、まず必要となるのが契約書です。秘密保持契約や、コラボに関する契約書など内容はさまざま。

お互いがPCブラウザゲームで、コラボ期間中に双方のゲームで相互送客を行うといった内容であれば、そこまで複雑な契約にはなりません。

しかし、アニメのキャラを使う場合や、コラボ期間中の売上に従って相手方にロイヤリティの支払いが発生するという場合、契約書を整えるのはなかなか大変な作業。

キャラクターの取り扱いやロイヤリティ支払いのパーセンテージなどなどなどなど、双方が不利にならないように落としどころを決めるのは結構な難作業。しかもお互いの法務が頭を捻って提案内容を考えて、相手方に連絡して……とするため、かなり時間もかかります

水やり

ゲームの中身でも、さまざまな準備をしなければなりません。

まずは、どのようなコラボイベントにするのか?内容は?タイトルは?ユーザーは報酬で何を手に入れる?というところから固めていきます。

別作品が合わさるのですから、必ずしも担当タイトルの世界観と先方が合っているということはありません。例えば、中世ファンタジーの世界に近未来ガンアクションのキャラクターが登場する、というくらいの違いがあることも。

これはプランナー陣の腕の見せ所です。

自分のゲームにいつもと違う要素が紛れこんでくるため、どうしても違和感は生まれます。しかしそれが違和感とならず、逆におもしろみとなるように、あーだこーだと企画を練ります。

骨子が固まったら、今度は内部、外部向けの素材づくりです。

内部はもちろん、ゲーム内で使う素材。キャラクターやイベントポップ、バナーやカード素材などをひとつひとつ作っていきます。キャラクターは書き起こす場合もあれば、先方の素材をそのまま登場させることも。

外部は、コラボ用のWebサイトやメディア向けの宣伝バナーなど。コラボイベントは双方のユーザーが盛り上がり話題になりやすいので、「目立ってナンボ!」の精神で、できるだけ外部露出を図るようにしていました。

嵐がやってきた!花が危ない!

嵐
粛々とコラボに向けて準備を進めていても、嵐に見舞われることがあります。

1:契約書がまとまらない!

コラボ期間が迫っているのに、契約書締結ができてない!!

……ということもありました。

契約書作業をするのを忘れていたわけでもサボっていたわけでもなく、「お互いの法務担当が納得しない」からです。

とはいえ、現場レベルではお互い納得のうえで着々とコラボの準備を進めています。今更ストップはできません

何としてもコラボ開始前には契約を締結しなければならないので、まずはとにかく締結をし、法務からの物言いに関しては後から覚書で変更するという手段を取ったこともあります。

2:お互いのゲーム仕様が障壁になった!

PCブラウザゲーム同士でコラボをやる際のあるある話です。

たとえば、「イベントのミッションを達成したら報酬は即時配布がいい」と言われたものの、自分のタイトルにはすぐに報酬を配る機能がない

先方のゲームはRPG式で前後左右にキャラが動くため、背面や側面のキャラ素材も欲しいと言われたけれど、自分のタイトルは正面立ち絵だけ……

その他にも細々と「これができない」「うちにはこの機能はない」ということが出てきます。

それらの問題を解決するために、時には新たに機能開発をすることもありました。

3:嵐の最たるもの!監修が通らない!

コラボの時には、必ず相手方の監修が必要になります。

自分のタイトルで作った絵素材、宣伝バナー、イベントシナリオ等、あらゆるものを相手にチェックしてもらうのですが……時に非常に高い壁ともなります

さらっと確認して「全部OKです」と言ってくれるところもありますし、時には「監修なしで大丈夫ですよー」という相手もいます。

対して、監修がひっじょーーーーーーーーーーーに厳しいところもあります。

例えばイベントシナリオのセリフに細かいチェックが入る、書き起こしたキャラの目鼻の配置に修正が入る、バナー素材のロゴやキャラ、コピーライトの配置や色味に細かい指定がくる……など、一向に監修が通らないということもありました。

それはまるで、戦っても戦っても倒せないボスに立ち向かう気分

やっと倒せた(=監修が通った)時は、一人ガッツポーズをするほどでした。

まとめ

作る側もプレイする側も楽しいコラボイベント。

特にコラボ相手が自分の好きな作品であった場合、喜びもひとしお。やる気にブーストがかかります。

しかし同時に、相手の作品に傷をつけてはいけない、お互いのユーザーをがっかりさせてはいけないなど、なかなかプレッシャーを感じる企画でもあります。

様々なゲームでコラボは実施されていますし、特に今の時期は水着コラボが花盛りですが、「裏側ではこんなことがあったのかなあ」なんて想像しながらプレイしてみるのも面白いかもしれません。

ゲーム業界で5年ほど働き、運営・プランナー・ディレクター・プロデューサーを担当しました。
その時の経験をもとに、ゲームはいいぞ、ゲーム業界楽しいぞ!という記事を書いていきます。

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