人気スマホゲームのCS(カスタマサポート)で働いた私が話す仕事内容と経験談

スマホゲームのCS
前回、下記の記事「スマホゲーム開発の現役プロデューサーが語る、ゲーム業界で働く事になった経緯」を執筆しました。ゲーム屋タカシです。

皆さんは、プレイしたゲームの運営元に問い合わせをした経験はありますか?

返信が遅い、対応が悪い、逆に助かった、聞いてよかったなど反応は様々ですが、顔が見えないため、その実態は意外と知られていません。

今回は、私がスマホゲームのカスタマサポート(以下、CS)で実際に働いていた頃の仕事内容についてお話をします。

私がスマホゲームのCSチームに配属になった理由

CSチームに配属になった理由
基本的にCSチームは人員補充に関して、求人情報サイト等でチームメンバーを募集することが主ですが、稀に社内のデバッグ経験者を異動して起用するパターンもあります。

私がそのパターンで、担当していたデバッグチームの解散に伴い、CSチームへの異動となりました。

望んでいた異動ではなかったものの、会社を辞めるよりはゲームの企画職(プランナー)チームへいつか行くために経験を積もうと、CSチームへの異動を受け入れました。

スマホゲームのCSチームとは

CSチーム
スマホのユーザー数は多く、その問い合わせも電話ではなくメールが主な手段となっているため、お問い合わせの数も多くなっています。

そのため、どの企業もCSチームを設けて、複数タイトルを横断的に対応しています。

もちろん大型タイトルになるとタイトル専門のCSチームが存在することもあります。

基本的にユーザーからの問い合わせは、一旦CSチームに全て割り振られます。

その中から、既に方針が確定しているものやCSチームで対応が可能なものはCSチームが対応し、運営チームに確認・調査が必要な案件はCSチームから運営チームに割り振られることになります。

その後、運営チームからの回答を元にCSチームが文面を作成しユーザーへ返信します。

返信する際の文言にも拘り、ユーザーの満足度向上に努めるプロフェッショナルなチームです。

スマホゲームのCSチームはどんな雰囲気?

CSチームはユーザーに寄り添うのが仕事です。

また、文章の表現一つで心象を左右する繊細な作業ということで女性に適性があるのか、私が所属したCSチームメンバーの8割は女性でした。

別会社でプロデューサーとなってCSチームと関わりを持つ現在も、やはりCSチームの男女比は男性2~3割、女性が7~8割な印象です。

なので男性には少し肩身が狭かったことを覚えています(笑)

昼休みはオフィスを出て皆で集まってオシャレなランチを取ったり、ガールズトークに花を咲かせる…。そう、もうOLさんの様です。

かなりのゲーム好きな女性も一定層いますが、CSチーム自体は社内の複数タイトルを担当するため、かなりの大所帯となり、ゲームが好きで…というよりは、オフィスワークだからという理由で入社している女性も数多くいた印象です。

元コールセンター勤務や、インターネットサービス企業でCS対応していた人が多かったように感じます。そのせいか、社内恋愛もちょくちょく耳にすることもありました。

CSチームで苦労した話

CSチームで苦労した話
初めての業務内容だったこともあって、当時は色んなことに苦労したものです。
特に私が所属したCSチームは比較的若い組織で、色んな体制やルールが手探りな状態でした。

しかし、そういった問題とは別にやはりCSチーム、CS業務ならではの苦労した経験があります。

もはや職業病?腱鞘炎になる

ユーザーが多いタイトルはそれだけ入信数が膨大なため、メンバーそれぞれに割り振られた対応件数のノルマを達成するためにひたすらタイピングをし続けることになります。

また、調査や各チームへの連絡などが必要な厄介な案件に捕まり、作業時間を奪われてしまうことで残業が発生して結果作業時間が増えます。

タイトルの不具合や外部要因(例えば決済サービスなど)による障害が発生すると、普段の3倍以上の問い合わせが襲い掛かります。

そういった事もあり、CSチームに入って2週間ほどで腱鞘炎になりました。

問い合わせ内容が短文過ぎて意図が読み取れない

ユーザーの中には、ほんの一言二言だけで問い合わせをしてくる人もいます。

こういった時、ほとんどの場合がヒアリングを行う必要があるのですが、そのヒアリングに対してもまた一言か二言で返信をするユーザーがいます。

これはかなり慣れてくると、ユーザーの言いたいこともある程度分かったりもするのですが、そんなにすぐには身につくものではありません。

かといって何度もやり取りしてしまうと相手を怒らせかねないので、ある程度の読みで返信するものの、それが間違っていると余計に怒らせてしまったりして、慣れないうちはかなり苦労したのを覚えています。

普通に問い合わせ内容が怖い

ユーザーがカンカンになっている返金要求や、不具合の報告も心苦しいものはあります。

しかし何より怖いのはユーザー間のトラブルがかなり発展して警察沙汰になっているものや、中には運営に対しての不満が爆発して殺害予告じみた問い合わせや、まさかのオフィスへの電撃訪問など。

私が直接関わった案件ではありませんが、業界の噂でもそういった話はよく聞きます。

またCSチームの中には、心が弱い人だと続けられないこともあるようで、退職される方もたまにいました。

チームに馴染めない

デバッグチームにいた頃と違って女性主体の組織、そしてゲーム好き(特に私はかなりのオタク)が少なく話が合う人がいませんでした。

昼休みは基本一人で黙々と自席で弁当を食べていましたが、変に気を使われてランチに誘われたりして…。

いたたまれなくなった私は便所飯をここで習得しました(涙)

なかなか辛かったのですが、溶け込めないものはどうしようもありません。

一度頑張って、笑顔で挨拶をしたところ「なんで睨むんですか?」と返されて、心が完全に折れました。

人間関係の問題が多い

女性が多いからか分かりませんが、何やらいくつかの派閥が生まれ、裏側では色々と揉め事があったようです。

男性である分にはあまり巻き込まれないのですが、時折その人間関係による問題で仕事に支障をきたすことも…。

私はチームに馴染めていなかったので、あまり耳にする機会はなかったですが、色んな噂話が跋扈していました。

あとは他のチームに比べて、職場恋愛が多い印象があります。

上手くいってる分には良いのですが、別れがきっかけで退職する方が出てくることも。

組織内での評価を獲得し辛い

私が当時所属していたCSチームでは案件の処理数で評価する組織体制だったのですが、私は案件の処理速度が早くなく、後輩よりも件数を伸ばすことが出来ませんでした。

周りを見渡してみると、ユーザーからの問い合わせに対し、的外れでも件数をとにかく返している人もいたりと、その評価体制による弊害も見受けられました。

チーム内では下から数えた方が早いほど、対応案件の数が少ない私は、自分に向かない事で勝負しても仕方ないと判断し、対応の品質向上に努めることにしました。

異動が出来ない

当時、私はデバッグチーム時代からの上司が企画職へ転向したこともあり、かねてより自分が夢見ていた企画職(プランナー)チームへの異動を希望していました。

私のデバッグチーム時代の仕事ぶりから、適正があると判断してもらえ、企画職チームから名指しで引き抜きを打診してもらいました。

しかし、CSチームは急成長中のタイトルを抱えていたため、会社一体となっての判断でCSチームから外へ人間を動かすことは却下されました。

結局、異動が出来ないまま1年半をCSチームで過ごすことになりました。

CSチームでの成功談

CSチームでの成功談
周りより案件の処理速度が劣る私は対応件数が少ないものの、対応品質には自信があったため、その点をアピールしようと考えました。

そこで私は、チームメンバーが一度返信したお客様からのリターンが多い案件を独自にまとめました。

ユーザーからのリターンが多い=最初の返信にミスがあると考えた

当時のチームの状態から、かなりの数ユーザーに誤った返信をしているのではないかと考えました。

完全に間違っていなくとも、一度目の入信の内容から正しい案内を出来るはずなのに読み取りづらい内容だからと安易にヒアリングで返信を送り、ユーザーにストレスを与えてしまっているのではないかと感じていました。

そういった状況をまとめた上で、入信内容を分解して読み解くことで正しい案内が出来るような手順を社内のwikiに掲載しました。

随時、その内容を更新してボリュームも増やしていきました。

CSチームの品質管理・教育研修担当に抜擢

チーム全体のレベルアップに貢献したことで、上長から一定の評価を得た私は新しい仕事を任されました。

それはCSチームの品質管理(QC:Quality Control)とCSチーム新入社員への教育研修でした。

まだまだ若い組織で、CSチームの業務内容を管理しきれていなかった部分を私がチェックしていき、新入社員には基礎をしっかりと教育することでチーム全体の業務品質を管理することが出来ました。

そういった仕事を渡されたことで、これまでの案件数による評価軸から外れることが出来たのはとても良いことでした。

自分の武器で勝負出来て、評価される場所を作り出す。

これはどんな仕事でも、とても大事なものだと思います。

最後に

CSチームはゲーム業界で働きたい人もいれば、そうでない人も大勢いる組織ですが、目的は皆一つです。

それはユーザーの満足度を最大化させることです。

CSチームがいわば運営とユーザーの窓口であり、ゲームの顔とも言えます。

スマホゲームで数々の大ヒットを出している有名な某企業では、ゲームプランナーになる前にCSチームに必ず配属して修行させるそうです。

それは、ユーザーが求めているものや、感じていることを知らないでゲームプランナーとして様々な企画や施策を考え、仕様を設計することが出来ないからです。

ゲーム運営の中で一番ユーザーに近い場所、それがCSチームです。

CSチームへ来る問い合わせのほとんどは、困っているユーザーからの相談事です。

だからこそ、ネガティブな内容が多いのですが、まれに「このゲームがきっかけで結婚した」「友だちが出来た」「こんなに良い事があった」等といった嬉しい報告をもらえることもあり、それがこの仕事を続ける活力の一つでもあります。

もし、ゲーム運営チームに感謝の言葉を投げかけたくなった時にどこに伝えれば良いか分からない場合は是非お問い合わせフォームを使って下さい。

ゲームデバッグのアルバイトからキャリアをスタートし、CS、プランナー、ディレクター、プロデューサーを経験。現在はスマホゲームのプロデューサーをやっています。
ゲーム屋としての酸いも甘いも語ります。

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