東京のゲーム会社でプロデューサーとして働く私のある日のスケジュール
東京のゲーム会社で5年ほど働いていたかぴばらくだです。
ゲーム会社での仕事は、一言で言ってしまえば「ゲームをつくること」ではありますが、その中にも日々いろいろな業務がありました。しかし、一つのゲームを作ったり運用したりしている人たちが裏で毎日どんなことをしているか、興味はありませんか?
もちろん、それぞれの会社や職種、担当タイトルによってさまざまですが、ここでは私のある日のスケジュールと仕事内容をご紹介しようと思います!
私の職種や会社の仕組みなどを大まかにご紹介
とあるゲーム会社に5年ほど勤めていた私ですが、その間、運営・プランナー・ディレクター・プロデューサーといった職種を順々に経験しました。
ご紹介するスケジュールは、プロデューサーを担当していた時のものです。
そのタイトルでは、毎週木曜日にアップデートのためのメンテナンスが行われていました。ということは、メンテナンス直前の水曜日と当日である木曜日が週のヤマとなります。
また、会社自体はフレックス制が導入されていたので、10時~16時のコアタイム以降は早く退社することも可能でした。
その制度を利用して、比較的業務が落ち着いている月曜日や金曜日は早上がりをすることも。
さて私は、一体どんな一日を過ごしていたのでしょうか。
ある日のスケジュールをご紹介!
プロデューサー時代は、デバッグやデータ作成などの現場仕事よりも、社内会議や外部の方との打ち合わせを多く行っていました。
定常的に発生するのは、「メール対応」「スケジュール調整」「予算管理」「契約書締結」などのようにざっくりとしたもので、その内容はまちまち。そして定例会議以外は「この時間にこれをする」といった決まったこともありませんでした。
そのため担当プロジェクトのスケジュール管理だけでなく、自分自身のスケジュール管理も必須でした。
ある週初めの月曜日
週末が終わってしまって悲しい月曜日ですが、メンテナンスの日からはまだ遠いため、比較的業務はゆったりしています。
しかし会社全体を通しても木曜日にメンテナンスを設けているタイトルが多かったため、逆に手が空きやすい月曜日に社内会議を入れられることも。また、社外の方との打ち合わせが週頭に入ることもしばしばでした。
10:00:出社
楽しい週末が終わってしまい、サザエさん症候群を引きずったままの出社です。
10:00~11:00:メール・電話対応や社外対応
処理しなければいけないメールをリストアップ。また、その週に進めなければいけない案件や打ち合わせ等を整理します。メールに追われるというほどの量はなく、多い日でも1日30通くらいでした。
また、ゲームのイラスト制作をお願いしている外注イラストレーターへの進捗確認や、納品後のギャランティ支払い手続き、その他新しく発注を出す場合の契約書作成や社内稟議作業など、細かな業務が発生します。
11:00~11:30:担当タイトル朝会
私が担当していたタイトルは、毎日朝11時からチームでの朝会を行っていました。その日の自分の作業内容を報告したり、チーム全体への連絡事項等を共有するためです。
11:30~12:30:再びメール・電話対応や社外対応
外部の方からは割と電話で連絡が来ることもあります。重なる時は重なるもので、会社の代表電話にAさんから電話がかかっている時に、別の会社のBさんから社用携帯に電話がある、などと思わず笑ってしまうような状況も。
私は割と朝方タイプだったので、午前中になるべく仕事を薦めました。
12:30~13:30:昼休み
待ちに待ったお昼休みです!私のいた会社は昼休みが決まっていたので、12:30~13:30に一斉にお昼休憩をとりました。
13:30~14:00:会議準備
お腹がいっぱいで眠いけれど、午後の業務の開始です。14時からある会議の準備として、担当タイトルの週末の動向をさらっておきます。
14:00~15:30:社内会議
他プロジェクトのプロデューサーや部課長が集まる進捗会議です。社長も同席する場だったので緊張感があり、実際のところあまり好きな会議ではありませんでした。各プロジェクトの状況や売上に関する報告、また開発中タイトルの進捗状況の共有を行います。
15:30~16:00:会議準備
社長同席の会議が終わってホッとしたのもつかの間、16時から別の会議があるため簡単に準備をしつつ、メール対応も行います。
16:00~17:30:担当部署会議
所属している部署の社内会議です。プランナー課だったため、色々なタイトルの企画担当が集まり、現状報告や今の課題の解決策などの意見を出しあいます。
17:30~18:00:作業まとめ
今日の作業のまとめや明日のタスクなどを確認します。
18:00:退社
定時は18:30ですが、作業のキリが良かったこともあり、フレックス制を利用してちょっと早めの退社をします。といっても、月曜日から遊びに行くことはあまりなく、まっすぐ家に帰ることが多いです。
外出が続く火曜日
時に、外部での打ち合わせやゲームのボイス収録などで一日会社に立ち寄らず直行直帰をするという日もありました。
10:00~12:00:ボイス収録
担当していたタイトルは全年齢向けのカードバトルゲームでした。
そのため定期的に声優のボイス収録が行われます。
収録スケジュールは不定期で、声優事務所の都合やスタジオの空き状況によって、1日1キャラ分の場合もあれば3キャラ一気に録るということも。
一人当たりのワード数が多いタイトルであったため、1キャラ収録に2時間を充てていたのですが、ベテランの声優さんともなるとわずか1時間で終わってしまうということもあります。
いつもはテレビなどのメディアを通して聞こえてくる声が目の前のブースから聞こえてくるというのは、何度収録を重ねても不思議なものでした。
12:00~14:00:昼食兼移動
外に出る予定がある日は、なるべく外出先での打ち合わせを詰めるようにしていました。自分のオフィスと他社やスタジオを細かく行ったり来たりするのは体力的にもなかなか大変なためです。
午前に収録があるという時、うまくスケジュールが組めれば、午後は他社との会議を入れるということもしばしば。
スタジオから次の打ち合わせ場所に移動しつつ、合間を見て昼食を取ります。また移動中は、会社から何かしらの連絡が着ていないか等、社内メッセンジャーのチェックも欠かせません。
14:00~16:00:社外打ち合わせ
私が担当していたタイトルはオンラインのPCブラウザゲームであったため、ゲームを置かせてもらうプラットフォームが必要です。
各プラットフォームには私たちのタイトルの窓口となっている担当者がおり、その方たちとの打ち合わせは、円滑な運営を行っていくうえで欠かせません。といっても厳しい会議ではなく、雑談を交えながら行う方が多かったです。
16:00~16:30:移動
一社目の会議を終え、次の打ち合わせの会社へ移動します。お茶でもしたいなぁという気持ちを抑えて、さくさくと動きます。
16:30~18:30:社外打ち合わせ
別のプラットフォーム担当者との打ち合わせです。タイトルの現状や、置かせてもらっているプラットフォーム内でどのような状況か、また今後の予定などの意見交換をします。
プラットフォームを運営している会社は大体が都心の一等地にあり、特に冬は、窓から東京の夜景がきれいに見えることもありました。
18:30:業務終了
打ち合わせが終わったことを社内のチームメンバーに伝え、特に問題は起きていないという報告を貰ったうえで、直帰します。
トラブル発生の木曜日
毎週木曜日は担当タイトルのメンテナンス日です。
デバッグやデータ作成などの現場作業にはかかわっていなくとも、メンテナンスの日は毎週緊張が走ります。
10:00~11:00:社内業務
メンテナンスにあたって問題や懸念点がないかを確認しつつ、メール対応などの作業を行います。
11:00~12:00:朝会
通常は30分の朝会ですが、メンテナンスの日は1時間ほどかかる場合も。
メンテナンスまでに必要な作業に何の残りがあるか、やり漏れていることはないかを確認しつつ、メンテナンス中のフローに関してデザイナー、プログラマーも含め全員で確認します。
12:00~12:30:社内業務
契約書作成やメール対応などを粛々とこなします。
12:30~13:30:昼休み
メンテナンスの日であってもお昼休みはしっかりととります!
13:30~14:00:メンテナンス前最終確認
メンテナンスは14時から開始となるため、再度問題なさそうかの確認を行います。
14:00~18:00:定期メンテナンス
毎週木曜日の14:00~18:00、定期メンテナンスを行っていました。
メンテナンス中に新しいイベントデータや画像リソースの入れ込み等を行います。まずはプログラマーが作業をし、終わった時点でプランナーがチェックを始めます。
木曜日の午後はメンテナンス、と決まっているため、何か問題が発生した時のために社内のものであってもなるべく会議は入れないようにしていました。
そして本番と同じデータのチェックを終え、心静かにメンテナンスが明けるのを待ちます。
18:00~18:30:メンテナンス明け、経過チェック
18:00にメンテナンスが明けたからといって、安心はできません。
本番のゲームが問題なく動いているか等、自分たちでも実際にプレイをしてチェックをします。また同時に、プランナーや運営は不具合の書き込みがないかSNSを見て回ったり、プログラマーはサーバーに問題がないかをチェックします。
1時間ほど見守りを続け、ユーザサポートにも何も問い合わせがない、となれば、大体19:30頃に解散となります。
しかし。定期的に何かしらの不具合が起こります。
メンテナンス明け直後に全員に発生するというような深刻なバグは滅多にありませんが、しばらくプレイしてから「あれ?」と気づくという不具合は、少し遅れて発見されるのが常です。
メンテナンス明けからプレイをして、不具合に気づいた人がSNSに書き込んだりユーザサポートに問いあわせを送るとなると、大体運営側まで届くのは18:30頃になることが良くありました。
そのため、メンテナンスの日で一番緊張するのはメンテナンスが明けた時ではなく、むしろ18:30頃にユーザサポート担当者から声をかけられた時です。メンテナンスの木曜日、長い夜の始まりです。
不具合の内容によっては、ものの数分で解決できてしまうものもありますが、根深いものであれば完全対処を翌日まで引っ張ってしまうことも。告知や公式SNSでプレイしてくれているユーザにお知らせを出しつつ、チームで協力して不具合を解決します。
木曜日の夜は、何の問題もない日と不具合があった日で帰る時間が全く変わります。割と根深いバグを出してしまった時は、それこそ終電近くまで対応に追われることもありますが、今まで一度も会社に泊まったことがない、というのが私のちょっとした自慢でもあります。
まとめ
「XXの業界の仕事はどんな感じでしょうか?ルーチンワークはありますか?」というのは、就職面接などでよくみられる質問かと思います。
私の担当していたタイトルは、職種に限らずルーチンワークはあるようなないような……という状況でした。強いて言うならば、毎週のメンテナンスがある意味ルーチンワークだったのかもしれません。
プロデューサー職を担当していた時は、社内・社外調整や契約回り、会議など細かい作業が次々を入ってくるという状況でした。そのため「何の仕事をしているの?」と言われると、「これ!」とズバッと言えるものがなかったことも事実です。
一つの作業をしているうちに別の作業が発生してというように、本当に忙しい時はハムスターが滑車を回しているようにぐるぐるぐるぐる案件を回していました。
それでも、社内・社外を通していろいろな人を関わることができたり、ルーチンワークがない分、自分で色々と仕事を作っていくことができるという点で、毎日飽きることなく仕事ができていたように思います。
ゲームの仕事は忙しいことも多いけれど刺激も多い、そんな業種ではないかと思います。

ゲーム業界で5年ほど働き、運営・プランナー・ディレクター・プロデューサーを担当しました。
その時の経験をもとに、ゲームはいいぞ、ゲーム業界楽しいぞ!という記事を書いていきます。
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